きらめく星と沈黙の月
「……その─」


「ごめん」


勇気を出して言おうとした言葉は、碧の冷たい声によって遮られてしまった。


「野球の話、やめよう」


「…そう……だよね…」


邪魔したくないなら、話題にも出しちゃいけなかった。


野球に関わる資格のない私が、気安く“応援してる”なんて言うんじゃなかった。


もしかして、今日の碧の態度が変なのは、そのせい…?


やっぱり私は野球に関わっちゃいけないんだ。


私たち二人を狂わせたあの事件を思い起こしてしまうから…。


「ごめんね……」


ごめんね、碧…。


マネージャーになりたい、野球をしてる碧を見たい。


こんなの全部、碧の気持ちを無視した、私の自分勝手な思い。


私たちの誓約を勝手に破っちゃいけなかった。


“二度と野球に関わるな”
“試合も見に来るな”


それが私たちの決まり事。


─キーンコーンカーンコーン…


約束破ってごめんね、碧。


夏が終わるまでは…碧とバイバイするから…。


ごめんね…。
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