きらめく星と沈黙の月
「…してないよ。大丈夫。むしろ……」


むしろ嬉しかった。


…それは言い過ぎかな。


いくら記憶がないとはいえ…言わないほうがいいよね…。


「むしろ?」


「なんでもないっ」


「教えろよ。気になるじゃん」


「絶対やだ」


もし碧が思い出したときに、嬉しがってたらキモイと思われちゃうし。


絶対に言わない。


「もう私帰るよ?」


変な空気のせいで長居しづらくなっちゃったし。


「来たばっかりじゃん。もうちょっと居れば?」


……。


悔しいけど、そう言ってくれるとすごく嬉しい。


渋々…を装って、頷くと、碧は満足げに笑った。


「……なぁ桜子」 


居心地のいい沈黙の中、碧が先に口を開いた。
< 297 / 586 >

この作品をシェア

pagetop