きらめく星と沈黙の月
オギがそんな交換条件を飲むわけがない。


絶体に嘘だ。


陽菜の心を掻き乱したいだけだ。


「気にする必要ないよ、陽菜。この子は私たちをもてあそんで楽しんでるだけなんだから」


よっぽどの暇人なんだろう。


だから根も葉もないことを言って気を引きたがっている。


「可哀想な人だよね、鈴宮さんって」


「…そうね。私も桜も、あんたのお遊びに付き合ってる暇なんてないんだから」


陽菜は吐き捨てるようにそう言って、仕事を再開させた。


私も陽菜も、気づいていなかったんだ。


鈴宮さんが浮かべる黒い微笑み。


そして、水面下で運命の歯車が狂い始めていることに─。
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