きらめく星と沈黙の月
こんな美味しいクレープ食べたことない。


「ん、ウマい」


テンション低いなぁ。


もっとこの美味しさを分かち合いたいのに。


「今度は藍沢と来れば?俺よりは分かち合えるかもよ」


また私の心を読まれてる。


でも、ここに碧と来れたことに意味がある。


だからこそ、幸せなんだ。


「このクレープ、碧と一緒に来たからこそ、こんなに美味しいんだよ?」


「だから、そういうセリフは彼氏に言えっての。俺を練習台にするな」


からかってみたら、案の定ぷいっと顔を反らせて頬を赤くする碧がかわいい。


でも…今のはからかいも含んでいたけど、ほとんど本心なんだよ?


碧は分からないだろうなぁ…。


あんな事件があったのに、またこうやって碧と出掛けられることに、あたしがどれほど幸せを感じているのか。


もう遠くに行ってほしくない。


そして……誰にも取られたくない。


そんな感情が確かに芽生えた瞬間だった。
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