きらめく星と沈黙の月
あんな経験、初めてだったし。


こんなにもメンタルが弱かったのかっていう失望と、それでも投げ続けるしかない重圧。


たしかにあれは公式戦でもなんでもない。


重圧を感じる必要なんか無かったのかもしれない。


でも、俺にとって勝負は勝負。


「皆“行事だから気にすんな”って慰めてくれたけど、俺は行事だから負けてもいいだなんて思いたくない」


一球一球が勝負で、いかなる状況でもベストを尽くしたかった。


「碧のそういうところ、好きだよ」


…え?


……こいつ…言ってる意味わかってんのかな。


「…そういうセリフは彼氏に言ってくれ。俺に言うな」


不意をつかれたせいか、妙にドキッとしてしまった。


「なんでよっ。事実なんだからいいでしょ。ありがたく受け取りなさいよ」
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