好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
今日一週間の大阪出張から直帰した俺は、マンションの敷地内にある小さな公園で大地を見つけた。
平日の昼間に小学生が一人でいるのも気になったし、寂しそうな背中が子供の頃の自分と重なって声をかけてしまった。

「僕、一人なのか?」
「うん」
「学校は?」
「・・・休んだ」
「何で?」
「風邪を、ひいて」

嘘つけ、元気そうじゃないか。とは言わないでおこう。

「おじさんはさぼり?」
「はあ?」

生意気な奴だなあ。
でも、かわいい顔をしている。どこかで見た顔なんだが・・・

「俺は出張の帰りで、今日は休みだ」
「ふーん」
「よかったらうち来るか?大阪の土産があるぞ」
「うん、でも」

当然だが、『知らない人について行ったらいけない』と言われているはずだ。
ためらうのが普通の反応だろう。

「こんなところにいたら補導されるぞ」

俺が気になるくらいだから、周りの大人たちの目にもとまったはずだろう。
補導とまではいかなくても、誰かが声をかけるのは時間の問題だ。

「おじさん、ここの人?」
振り返ってマンションを指さす。
「ああ、ここの最上階」
「ふーん」
「来るか?肉まんもあるぞ」
大阪駅で買った肉まんの袋を掲げて見せた。

「え、551?食べたい」

ふっ、かわいいじゃないか。

「じゃあ、来い」
< 23 / 176 >

この作品をシェア

pagetop