好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
ピコン。
空からのメール。

『遥、大丈夫か?仕事のことは何とかするから心配するな』
短いメールだが、今の俺には何よりもありがたい。

空が仕事を引き受けてくれるから、萌夏の捜索に専念できる。
責任のある仕事をしている以上、自分の都合では動けないときは必ずある。
家庭を犠牲にするときだって出てくるし、いい旦那、いい父親になれないときも必ずある。
そんな時助けてくれるのは身内たち。
これが血族の多い財閥の強みかもしれないな。

[史也を手伝わせようか?」
出かける寸前、父さんが携帯片手にやってきた。

「いやぁ・・・」
思わず否定してしまう。

長年父さんの秘書を務めてきた三崎史也さん。
父さんの大学時代の後輩で、仕事ができることに間違いはない。
今はHIRAISIの統括本部長として影で会社を動かす男と言われている。
きっと、三崎さんに頼めばいい情報も入ってくるのかもしれないが、俺は乗り気になれない。

「まだ苦手か?」
「すみません」

経営者として良くないのはわかっている。
利用できるものは何でも使うくらいの気概が必要だと思うが・・・

「まあいい。何かあれば言ってくれ」
「はい」

俺も自分の伝手で情報を集めているが、今のところ悪い話しは聞こえてこないから事件や事故に巻き込まれてはいないはずだ。
とにかく今は萌夏を探すしかない。
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