好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
遥が手にする携帯の写真には、数人の女の子を囲むように男の子が写っていて、それぞれの距離もかなり近い。
近いというより密接していると言っていいくらい。
私の隣の男の子は肩に手を回しているし、反対の子とは腕がくっついている。
決して卑猥な印象ではないけれど、体が触れていることに違いはない。

「いくらなんでも羽目を外しすぎだろう。その上ネットにアップまでされて」
「それは・・・ごめんなさい」

昨日私がとった軽率な行動に対しては謝るしかない。
いくら学生とはいえ大人としての自覚が足りなかったと思う。
でも、私にも不満はある。

「ねえ、遥は何に対して怒っているの?」
我慢できなくて口にした。

「はあ?」
何を言っているんだと睨みつける遥。

もし私が逆の立場なら、知らない異性とじゃれあっていたことを怒ると思う。
「この女は誰なのよ」と詰め寄るだろう。
間違っても、「こんな写真をアップされるなんて自覚が足りないのよ」なんてことは言わない。
平石を名乗る責任は重いけれど、それ以前に私たちは恋人で愛し合っている。
そのことが遥にはわかっていない。

「はぁー、もういいわ」
「もういいって、どういう意味だよ」
「とにかく、昨日はごめんなさい。これから気を付けます。私、大学の準備があるから行くわ」

「お、おいっ」

背中から聞こえる遥の声は無視して、私は部屋を出た。
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