好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「相変わらず、三人で仲のいいことだな」
雪丸と遥と三人でいたのが気に入らにのか、不機嫌そうな空が部屋に入ってきた。

「仕事だ」
遥のあきれた顔。

「私は昨日秘書が休んで専務秘書の代役を務めましたので、その残務処理と申し送りに」
私が休んだせいだと言っている雪丸。

「それは、お疲れ様です」

「で、何の用だよ。報告だったらメールでも電話でもいいだろう。それに順調だったって聞いたぞ。それとも、直接礼を言わせたいか?」
やはり、今日の遥には棘がある。

「ずいぶん機嫌が悪いな」
さすがの空も苦笑い。

もし空が個人的な目的でここに来たんなら、褒められた行動ではないと思う。
しかし、仕事であれば遥にだって最低限の礼儀はあるべきで、身内だからとかは関係ない。
大体、一昨日は空のおかげで助けられたんだから。

「すみません、専務はまだ色々と」

私は秘書として態度がいいとは言えない遥の代わりに謝ったつもりだった。
しかし、

「色々ってなんだよ」
さっきまで上辺だけでも笑っていた空の顔が険しくなっている。

「は?」
ここは、怒るところかしら?

今度は私の方がポカンと口を開けてしまった。
< 86 / 176 >

この作品をシェア

pagetop