好きになってもいいですか? ~訳あり王子様は彼女の心を射止めたい~
「仕事する気あるのか?」

お昼休み明けに呼び出された私は、雪丸のデスクの前に立った。

平石建設営業課長。
年齢的にも勤務年素から考えても異例の抜擢である。
その分プレッシャーも半端ないはず。
人一倍働いて、自分を律していなければ、心だって折れるだろう。
そんな立場にいる雪丸だからこそ、私にも厳しい。
それは仲間だからこそと分かってはいるけれど・・・

「私に言わないで」
つい、いつもの口調になった。

私の態度が悪いって言うなら、それは空のせい。
私だって、きちんと仕事をしたいと思っている。

「仕事にならないなら異動するか?」
「え?」
「また営業に戻ってもいいんだぞ」
「そんなぁ」

秘書の仕事にこだわるつもりはない。
営業での仕事もやりがいはあった。
でも、今ここで投げ出すのは悔しい。

「まず、お前がどうしたいのかをはっきりさせろ。中途半端だからつけいられるんだ」
「それは、」
どちらかというと空のせいでしょう。

「お前が本気で嫌だと思っているなら、手を打ってやってもいい」
「いや、それは・・・」
「その態度が原因だろ」

そう、だよね。
私が悪いんだよね。
でも、
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