天敵御曹司と今日から子作りはじめます~愛され妊活婚~
おまけに仕事もできるし、上流階級で育ったくせしてそれを鼻にかけることもなければ、とても話しやすい。

「いるさ、そりゃ。眼中にないって感じだ」
「それは残念ですね」


しみじみ言うと、彼はなぜか苦笑している。


それからコース料理を注文して、ちょっとドキドキしながら食事を始めた。
メニューに値段がなかったからだ。

多分、小暮さんのほうのメニューには表示されているのだろう。

こんな高級店は初めてなので、落ち着かない。
さっきどこに行きたいと聞かれたときに適当な店を答えればよかった。


「どうかした?」


運ばれてきた炭酸水を手にする彼が不思議そうに私を見つめる。


「あの……。今度はもう少しカジュアルなお店でお願いします」


正直に伝えると、彼は笑いをかみ殺している。


「了解。けど、ここのシェフが作るソースが最高だから、椎名に味わってもらいたかったんだよ」

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