オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ
その言葉に、彩響は古い記憶を思い出す。元彼の言葉や、会社の編集長の暴言。いつもいつも「女はこうであるべきだ」と叫んできた彼らとずっと一緒にいて、いつの間にか自分までそのように思っていたのかもしれない。

でも元彼のような、編集長のような人にはなりたくない。

彩響は顔を上げた。


「わかりました。それでお願いします」

「これで、契約成立だね」

Mr.Pinkがパチンと指を鳴らすと、お試しで来てくれた4人がぞろぞろと応接室に入ってきた。

(えっ…?)

「ふふっ、丁度彼らがその「入居家政夫」を希望するスタッフなんだよ。気に入った家政夫はいるかい?」

「あー…」 


「毎日ピカピカした空間で住みたくない?俺にしなよ」

候補1番。掃除のプロ(ヤンキー)河原塚成さん。


「洋服を管理するのはなにより生活に必要なことかと」

これが候補2番、洗濯のプロ(変態)三和 寛一さん。 


「ちゃんと食べなきゃ、なにもできないよ?」

早速アピールする、候補3番 料理のプロ(ガキ)雛田林渡くん。 


「片付けして、一緒に幸せになりませんか?」

最後、片付けのプロ(信者)今瀬清嵐さん。


それぞれが主張する中、彩響はお試し期間を思い返す。

自分に本当に必要な家政夫。力になってくれる家政夫。

やがて、彼女が選んだ家政夫は…

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