オスの家政夫、拾いました。0. プロローグ
「え?どうして知っているのですか?」

「おや、あたりかな?ハニーくらいの若さで、さすがにマンションを買うのは無理かと思ったので推理しただけだが、図星だったのかな?」

「そ、それは…」


マンションのローンが残っているのは事実だ。元彼と半分分けて徐々に返却する予定がくるってしまい、その負担はすべて彩響に回ってきたから。今までは何とか返してきたが、さすがにこれ以上の出血は避けたい。だからと言え、この家事代行サービスを諦めるのも嫌だった。


(あのゴミ屋敷に戻るのは…さすがに勘弁したい…)


「ハニー、私は今まで『家事は女がやるものだ』という世間の偏見を破りたく、この事業をやって来たんだ。家事だけではない、世の中のすべてを、なにかで区別してしまっておくのは良くないと思っている。我が社の社員たちは決して破廉恥な事はしない。しかし、彼らは今までずっと男だからという理由で、きちんとした入居家政夫として活躍できてない。もし君が私の気持ちに少しでも共感できるなら、ぜひとも彼らに機会を与えてくれないか?」
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