白鳥学園、いきものがかり
すぐに駆け付けてくれた看護師に、傑が状況を説明した。
その間、紘は累に羽交い締めされていたが、ずっと私の名前を叫んでいた。
最後には看護師と医者に出ていくよう指示を出された紘。
「はぁ!?俺じゃねぇだろ!出ていくのはこいつ等だ!」
「紬、すぐ戻るから。待ってて」
そう叫びながら、男性看護師数名と累は紘を連れて出て行った。
最初からになった二度目の点滴をされ、気分は落ち込み気味。慣れていてもやっぱり痛い思いはしたくないから。
「紬、気分は?」
「ん…大丈夫…」
傑の手が私の頬に触れる。
温かく大きな手に思わず顔を摺り寄せた。
────────”スグルに近付かないで。彼は私の物なの。”
っ……!!
「…………紬?」
どん、っと傑を押しのけた。
っ…そうだった。忘れてた。傑は卯西さんとお付き合いしてるんだった。それなのに私はまた……傑に頼って…。
「もう大丈夫だから…」
逸らす私の額に傑の手が触れる。
熱を確認してるようだ。
「気分が優れないなら、眠った方がいい。俺が傍に居るから」
「大丈夫だよ。私もう平気だから」
「熱は…無いな。顔色が悪くなってきてる…寒い?吐き気は?」
っっ……、
「もう大丈夫だから!」
思わず大声が出てしまう。
傑には卯西さんがいる。そして私のせいで…彼女との時間が取れていない。きっと今も卯西さんを置いて来たに決まってる。
「────────紬、」
傑の指先が私の唇をなぞった。
「吃驚するだろ」
「っ…ご、ごめん」
確かに今の声は大きすぎた。