白鳥学園、いきものがかり
『まもなく────────』
電車内に響くのは私達の降りる駅の名前。白鳥学園の最寄り駅。
学生が降りていき、空間に余裕が出来たように見える。凪は翔が振り向く前に離れた。
「紬ちゃん、僕達も……。…紬ちゃん?どうしたの?凄く顔が赤いよ?もしかして具合悪い?」
私は俯き、翔に向かって左右に首を振った。
「紬ちゃん、我慢しなくて…」
「降りますよ」
そんな私の肩を抱き、電車から出る凪。
俯く私に翔は心配そうに後を付いて来た。
「さっきみたいな事…もうしないでね?」
呟く。
聞こえないように、潰れそうな声で言った。
本当は聞いてほしくなかったのかも。
だから反応してくれないと思った…けど凪は聞こえてたみたい。
「最善は尽くしますよ?無理でしょうけど」
「へ…?」
人の行き来、人の話し声。
ガヤガヤとした駅のホーム。
凪の宣伝するポスターが目に入る。
「…意地悪しないで…」
「…そんな顔するからしたくなるんですけどね」
その後で誰にも聞こえないぐらいの声で、
「チッ、さっさとするんだった」
そう言った。