ため息のわけを教えてください
 翌日は早めに出勤して、からあげさんからもらったアルコール入りチョコを同僚たちに配った。それが毎日坦々と仕事をしている彼らには好評で、からあげさんは男女問わずファンを獲得しそうな予感だ。

 わたしがレジ打ちしていると、同僚がさっと側に来て、からあげボックスをケースから出し、カウンターの上に用意する。ありがとう、と必ず笑顔を返してくれるところが、わたしたち従業員をも癒やしてくれる。

「ありがとう、だって。ああ、素敵。からあげ様」
 同僚は彼が店を出たとたんに呟いた。店内にファンが増えれば、彼の好物を切らすこともなくなるだろうから、これは店にとっても良いことかもしれない。

「大場さんって、からあげ様と仲良いですよね。実は狙ってたりします?」
「いえいえ、全然。良い人だけど、そういう対象じゃないというか」

 出来すぎた人と一緒にいると、違う意味でドキドキしてしまう。それに、長く一緒にいるようになって、だらしないところが見えたとき、がっかりしてしまうのが嫌だ。

「えー? じゃあ、大場さんってどんな人が好みなんですか」

< 34 / 46 >

この作品をシェア

pagetop