ため息のわけを教えてください
 袋詰めをする間にも視線を感じるが、まだ店のどこかに余っているチョコクッキーがあると思っているのだろうか。

「どこがいいんだかなあ」
 彼はボソリと呟いた。

「え?」
 わたしが顔を上げると、バーコードさんは「煙草」と顎で棚を指す。いつもならレジに来る前には用意しておくのだが、すっかり忘れていた。

 会計を済ませると、彼はさっさと店を出た。すると、謎の呟きが再び頭に蘇る。まさか、大福さんのことを言っていたのだろうか。

 どこがいいんだかなあ。わたしはバーコードさんの言葉を、心の中でそっと繰り返した。この胸の高鳴りが、恋のときめきなのか、面白そうなものに遭遇したときの興奮でしかないのか、これからしっかりと見極めなくては。

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 橋爪学は馴染みのコンビニを出ると、早足で会社に向かって歩いた。本社ビルの入り口をくぐると足を止め、スマートフォンを取りだした。コンビニの店員、大場麻衣からもらったばかりのメモを開く。ハンドルネーム『まいまいかぶり』をSNSで検索をかける。


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