性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。
その後、男から送られてきたインターネットから抜粋したであろう地図を片手に、大きなキャリーバッグを引きながら向かう先は、電車で1時間ほどの距離にある都会から外れた海の見える丘。
本当にここなんだろうか。
電車を降りタクシーに乗り込んで数分。
窓の外から見える景色は閑静な住宅街。
そこを抜けたかと思えば辺りは野原ばかりで
住宅は疎か、人の気配をほとんど感じない風景が続く。
確かに静かな所だなとは思ったけれど
やっぱり疑問。
本当にこんな所にアパートなんてあるの?
目的地付近に到着し降ろされてしまったけれど
なんだか急激な不安が押し寄せる。
もしかして私
あの男に騙されたんじゃないよね。
嘘を吐かれて、知らない土地に捨てられた…なんてね。
タクシーは行ってしまったし
見渡してもバス停がある気配もない。
ここまで来て引き返す手段も絶たれた今
とにかく目的のアパートへと歩き始める事に。
のどかな風景が続く中
歩く事、ほんの僅か。
ようやく見えてきたのは
丘の上にポツンと立っている白が基調のモダンな家。
アパート…ではない。
「あれ、おかしいな。
道を間違えたかな…」
男から貰った地図を見直し
現在地と照らし合わせて見てみるが
目印らしき建物がないせいか
まったくわからない。