性悪なヤツらの取り扱い方を教えてください。

その後、男から送られてきたインターネットから抜粋したであろう地図を片手に、大きなキャリーバッグを引きながら向かう先は、電車で1時間ほどの距離にある都会から外れた海の見える丘。

本当にここなんだろうか。


電車を降りタクシーに乗り込んで数分。
窓の外から見える景色は閑静な住宅街。
そこを抜けたかと思えば辺りは野原ばかりで
住宅は疎か、人の気配をほとんど感じない風景が続く。

確かに静かな所だなとは思ったけれど
やっぱり疑問。
本当にこんな所にアパートなんてあるの?


目的地付近に到着し降ろされてしまったけれど
なんだか急激な不安が押し寄せる。

もしかして私
あの男に騙されたんじゃないよね。
嘘を吐かれて、知らない土地に捨てられた…なんてね。

タクシーは行ってしまったし
見渡してもバス停がある気配もない。
ここまで来て引き返す手段も絶たれた今
とにかく目的のアパートへと歩き始める事に。

のどかな風景が続く中
歩く事、ほんの僅か。

ようやく見えてきたのは
丘の上にポツンと立っている白が基調のモダンな家。

アパート…ではない。

「あれ、おかしいな。
 道を間違えたかな…」

男から貰った地図を見直し
現在地と照らし合わせて見てみるが
目印らしき建物がないせいか
まったくわからない。
< 11 / 161 >

この作品をシェア

pagetop