悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
ギルの思わぬ提案に、ナタリアはきょとんと首を傾げる。

「え? どうして?」

「あなたと一緒にいたいからですよ」

整った顔でまるで口説き文句のようなことを言われ、目が点になる。

いつぞやのレオンの声が、耳によみがえった。

「――もしかして、ギルってロリコンなの?」

すると、一瞬だけギルの笑顔がピキッと引きつる。

「……そのような言葉をどこで学ばれたのですか?」

「えーと、お兄様からよ」

「………」

なぜか、無視された。

(ギル、なんか怒ってる? ロリコン扱いしてプライドに触ったのかしら?)

そもそも、北大陸に一緒に行きたいと冗談を言われたのも解せない。

そうこうしているうちに、船着き場に面した建物に行き着く。

ナイフとフォークのイラストが描かれた木製看板が掲げられた、大きな平屋である。

おそらく食堂のようだ。

かなり人気の店のようで、真昼間だというのに、店の中からはガヤガヤとひっきりなしに人々の声がする。

「いろいろな人たちが出入りしている食堂です。北大陸から来た人を探してみましょう」

ギルはナタリアを連れて、食堂に入っていった。

開け放たれた窓から海風のそよぐ室内は、ほぼ満席だった。

皆が笑い声を響かせながら食事をしていて、中には酔っぱらっている人もいる。
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