悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
カミーユが男に抱き着いて、頬にチュッとキスをする。

オーガストは見る間に真っ赤になって、「なら、いいんだけどよぉ」とごまかすように咳ばらいをした。

(いったい何を見せられてるんだろう)

幼女であることを忘れ、白けた目でふたりを眺めるナタリア。

「で、注文は何にする?」

「ベル、何か食べたいものはある?」

ギルがメニュー表を開いて見せてくる。

「えーと。木イチゴのジュースにチョコクッキーにする」

「それだけでいいの?」

「うん、充分。ギ……お兄ちゃんは?」

「そうだな、コーヒーにしよう」

(なんか、ギルのタメ口って新鮮)

悪くないなと思いながら、ギルがカミーユにオーダーしている横で、ちらりと周囲に視線を向けた。

獣人も人もたくさんいるが、見た目だけでは、誰が北大陸出身なのか分からない。

ひとりひとり聞いて回るのも大変だし、さてどうしたものか。

カウンター向こうでは、今度はオーガストとナタリアが頬をつつき合っていた。

「ちょっとあんた、子供が見てるよ」

「いいじゃないか、夫婦なんだから」

調理中だというのに、大変なラブラブっぷりである。

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