悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
(アリスって、あんな子だったっけ?)
初めて会ったときは、田舎臭さの抜け切れていない純朴な少女だったのに、少し見ない間にずいぶん人馴れしたように思う。
少なくとも、王太子であるレオンに砕けた口調で話すほど、大胆ではなかったはずだ。
服装も、随分煌びやかになっていた。
今はフリルのふんだんにあしらわれたピンクのドレスを着ていて、イヤリングやカチューシャには赤いルビーが星屑のように散りばめられている。
「ナタリア様、何をご覧になられているのですか?」
ナタリアがいつまでもそこを動かないものだから、ギルがずいっと身を寄せてきた。
「おや? あのご令嬢はどなたですか?」
「え、知らないの? アリス様よ」
「アリス様? 見かけない方のようですが、レオン様と随分仲がよろしいようですね」
「……え、本当に知らないの? 今ではアリス様を知らない人はいないほど人気なのに」
「昔から、女性の顔を覚えられない性質なんです。皆同じに見えてしまって」
聡明とばかり思っていたギルの意外な一面を知って、ナタリアはぽかんとしてしまった。
「あ、でもナタリア様は例外ですよ」
ギルがナタリアに向けてにっこりと微笑んだそのとき、「おい」という低い声が垣根の向こうから聞こえた。
初めて会ったときは、田舎臭さの抜け切れていない純朴な少女だったのに、少し見ない間にずいぶん人馴れしたように思う。
少なくとも、王太子であるレオンに砕けた口調で話すほど、大胆ではなかったはずだ。
服装も、随分煌びやかになっていた。
今はフリルのふんだんにあしらわれたピンクのドレスを着ていて、イヤリングやカチューシャには赤いルビーが星屑のように散りばめられている。
「ナタリア様、何をご覧になられているのですか?」
ナタリアがいつまでもそこを動かないものだから、ギルがずいっと身を寄せてきた。
「おや? あのご令嬢はどなたですか?」
「え、知らないの? アリス様よ」
「アリス様? 見かけない方のようですが、レオン様と随分仲がよろしいようですね」
「……え、本当に知らないの? 今ではアリス様を知らない人はいないほど人気なのに」
「昔から、女性の顔を覚えられない性質なんです。皆同じに見えてしまって」
聡明とばかり思っていたギルの意外な一面を知って、ナタリアはぽかんとしてしまった。
「あ、でもナタリア様は例外ですよ」
ギルがナタリアに向けてにっこりと微笑んだそのとき、「おい」という低い声が垣根の向こうから聞こえた。