悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
リシュタルトの表情が固まった。

「だっこ……?」と口の中でもごもごとナタリアの言葉を反芻している。

「はい。今日からわたしはひとりで寝ないといけません。寂しいです」

これは打算でもあるが、本音でもあった。

今までは寝る時もドロタかアビーが近くにいてくれたが、今日からは正真正銘ひとりきりだ。

「そうか……」

リシュタルトが、眉根を寄せながら答える。

食い入るようにこちらを見ている彼は、ナタリアの気持ちを理解しようと頑張っているようにも見えた。

「抱っこすれば、寂しくなくなるのか?」

「はい。お父さまは大きくてあったかいので」

「――わかった」

リシュタルトがナタリアの脇に手をかけ、ひょいと抱き上げる。

彼の美しい顔がぐんと近くなって、ナタリアは思わず見とれてしまった。

「どうした?」

「い、いいえ……!」

ついつい、前世の成人女性の感覚で彼のイケメンぶりに翻弄されていた。

彼はあくまでも自分の父親。そんな目で見るのはけしからんことだと自分に言い聞かせる。
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