悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
「ラーの花、ですか?」

きょとんとしているナタリアに、リシュタルトはすぐ答えをくれた。

「けがの治療などに使われている、催眠作用のある花だよ。意識が朦朧とするから、痛みや刺激に鈍感になれるんだ」

「自然に生えていない花ということは、誰かが持ち込んだのでしょうか? でも、何のために?」

怪我人の治療でもしたのだろうか? だが村が近いのに、わざわざあんな野外で治療はしないだろう。

首を傾げていると、リシュタルトがボソッとつぶやいた。

「それはまだはっきりしないが、思いあたることはある」

言い終えた彼の顔はひどく真剣で、それ以上質問できる雰囲気ではなかった。

そして「もう寝ろ」と促され、胸にモヤモヤを残したまま、ベッドの中に入ったのである。
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