悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!
その日のうちに、ナタリアは街で評判の仕立て屋とやらに行くことになった。

ドレスにはあまり興味はないが、街に出られるのはうれしい。

リシュタルトとともに獣保護区に行くとき以外、ナタリアはほとんど城から出たことがないからだ。

だが――。

「ものすごく注目されてるわ」

金でふんだんに装飾された豪華な四頭立ての馬車の中で、ナタリアは身を縮めた。

馬車の周りには、野次馬がひっきりなしにいる。

ナタリアを乗せた大型の馬車だけでなく、従者を乗せた二頭立ての馬車が二台、それから先頭と最後尾にはそれぞれ馬に乗った獣人騎士までいて、目立つことこのうえないからだ。

「これじゃ、パレードみたいだわ。もっと質素にできなかったのかしら」

「この度は陛下が忙しく、ナタリア様に付き添えないため、厳重に警護するようにとのご命令ですからね。仕方ございません」

ナタリアの向かいに座ったギルが言った。
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