溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~

 冷めたようにそう思っても、瞳からは勝手に涙があふれ、枕を濡らしていく。

 結婚していて、同じ家に住んで、キスだってセックスだってしているのに……手の届かない存在だと思って片想いしていたあの頃より、どうして切ないの。

「ひっ……ぅ」

 思わず嗚咽が漏れ、肩が震える。

 軽井沢なんて、行かない。行きたくない。これ以上、惨めになりたくない。

 駄々っ子のようにそう思い泣き続けているうちに、私は眠りに落ちていた。


「悠里。起きてるか? もう十一時だが……」

 軽いノックの音とともに、ドアの外からそんな声がした。

 十一時? 私、そんなに寝ていたの? それにしては体がやけに重い……。

「開けるぞ?」

 私が返事をする前に、維心さんがそう言って部屋に入ってくる。

 せめて上半身を起こそうと思うのに、節々が痛くて力が入らない。おかしいなと思っていると、おでこに維心さんの手のひらがあてられた。

「熱がありそうだな。体温計を持ってくる」

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