溺愛まみれの子づくり婚~独占欲強めな御曹司のお相手、謹んでお受けいたします~
カウンター席に隣り合って座り、料理と冷酒を楽しみながら、お互いの近況報告をする。
それから悠里との結婚、彼女の魅力について散々語ってから、俺は美久に問う。
『そっちも変わりなくうまくやってるのか? 先日の会食では俺たち夫婦の話ばかりだったから、あまり玄心に話を聞けなかったんだ』
『うん。変わらないよ。玄心は優しいから。維心くんと違って察しがいいし』
美久はそんな嫌味を言って、にやりと笑う。俺をダシにしてのろけているらしい。
『悪かったな。ま、ふたりがうまくやっているなら何よりだ』
軽く笑って、ガラスの猪口に入った冷酒をくいと煽る。ちょうどその時ポケットの中でスマホが鳴る。悠里からの着信だった。
胸にふわりと優しい気持ちが広がり、自然と口元が緩む。
『妻からだ。少し席を外す』
『うん。……行ってらっしゃい』
俺は足早に店を出て、愛しい妻の声を聞くためにスマホを耳にあてた。