もっと蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻への溺愛を止められない~
振り返った柚瑠木さんは少しだけ驚いた顔で私を見つめ返しましたが、すぐにその表情を少し眉を下げた困ったような笑顔にかえて。
柚瑠木さんの袖を握っていた私の手に、彼は自分の手をそっと重ねます。
「仕方ない人ですね、月菜さんは。僕は月菜さんが甘えてばかりでも構わないのに、貴女はそうじゃない」
「……私は自分ばかりは嫌です、私が幸せだと思ったのと同じ分だけ柚瑠木さんにも幸せを感じて欲しいので」
どんな方法で柚瑠木さんを幸せだと感じてもらえばいいのかはまだ分かりません。ですが何もしないで、ただ大事にされるばかりの妻にはなりたくない。
「とても大切な存在だから僕が大事に守って甘やかしたいのにな。本当に月菜さんには勝てませんね」
柚瑠木さんは私の事を十分大切にしてくれてるのに、それでもまだ足りないようです。毎日が蜜のように甘く私の心は満たされて。ですがそれは私だけではダメなんです。
「柚瑠木さんの気持ちはすごく嬉しいです。貴方に大事にして欲しいし守ってもらいたい、思いきり甘えもしますから。だから、柚瑠木さんも……」
同じように私に大事にさせてくださいね、と。
微笑みながらゆっくりと頷いてくれた柚瑠木さんに私も頷き返して、私達は重ねた手を離すとドアを開けて車から降りました。