君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~
→ そのあと

「ホント、香澄は可愛いね」

艶っぽい微笑みを浮かべると、大きな掌で私の頬を撫でた。
副社長の手の心地よさに頬をすり寄せていたら、顔が近づいてきた。

反射的に目を閉じると副社長の手が後頭部に回り、あっという間に唇を塞がれた。
さっきの触れるだけのキスとは違い、深く重なった唇。

食べる様に唇を貪られ、わずかに開いた隙間から副社長の舌が口内に入り込み、歯の裏側をなぞられた。
人の舌がこんなに熱くて柔らかいものだなんて知らなかった。
奥に引っ込んでいた舌を絡めとられ吸い上げられると背筋がゾクリと粟立つ。

「んっ……」

濃厚なキスに唇から吐息が漏れた。
鼻にかかった声が耳に届き、恥ずかしくなる。

副社長の巧みなキスに翻弄され、何も考える余裕なんてなく、舌の動きにただただ必死についていく。
キスの気持ちよさにグズグズに蕩けてしまいそうになり、足にも力が入らなくなった。
思わず副社長の身体にしがみつくと、きつく抱きしめられた。

ゆっくりと唇が離れると、私は乱れた息を整えた。
息苦しさからは解放されたけど、離れた唇の感触に寂しさを覚える。
うっすらと涙の膜で張った目で副社長を見上げた。

「そんな顔しないで。我慢できなくなるから」

副社長は困ったように笑い、私の濡れた唇を親指で拭った。
キスの余韻で私の身体は熱を持ち、心臓がバクバクと早鐘を打っている。

「今日はもう遅いから寝ようか」

副社長はベッドに寝る様に促してきた。
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