0631
プロローグ


高校生の娘が


私たちの結婚記念日を聞いてきた



娘の大学受験も終わり


ようやく落ち着けるこの新しい季節の訪れに

少し浮き足だった私は



つい


「6月31日」と



言ってしまった。




あの思い出が、私たち二人の大切な日々なのに


娘にいたずら心で言ってしまった私の心は

あの頃のまま、何も変わらず


女の子だった





「6月って31日とかないよ!6月30日じゃない?」





そうね、その通り



ない日が確かにあったから


ないはずの、あの日の、6月31日があったから




私たちは結ばれて



あなたが産まれたんだよ!










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