あの日、小猫と出会ったから
野良猫、暗い冬を越えて
 外界から完全に隔絶された世界。再犯を防ぐため、厳しい指導と重い労役を課すと言われている国内一大きい刑務所。
 どんな所だった、と視察したナイジェルに聞いた。すると、あいつは十四とは思えない大人びた表情で、曖昧な感想を述べた。
『まあ……何事にもプラス面とマイナス面があるということかな』
 ナイジェルの言いたい事がよく分からなかった。レシュノルティアでは未だ身体刑が施行されているという話を聞いて、アストランティアに住んでて良かったと思った。
 まだ、その時は。


 収監され、北側の雑居房に入れられた俺の立場は『化け猫』だった。
「おかしな目ぇしやがって」
 初っ端から、同室の先輩方に目の色が理由で殴られた。
「気味の悪い目で見るな、化け物」
 瞳の色が理由で、一人の看守に目をつけられた。
「今に見てろ。お前みたいな化け猫、隔離小屋にぶち込んでやる」
 懲罰に当たる事をわざとさせようとして、そいつはあらゆる手で挑発してきた。
『お前なら大丈夫だ。出来るだけ早く戻ってこい』
 刑事さんの優しい励ましを思い出して、どんな暴力にも、どんな罵倒にも、ひたすら耐えた。
 ただ、そんな理不尽な攻防が毎日毎日延々と続くと、流石に心が折れてくる。
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