あの日、小猫と出会ったから
「一つ、個人的に聞きたい。どうして、今更自首してきた?」
「どういう意味ですか」
「君は立ち直ろうと決めた。でも、現行犯で捕まったわけじゃない。そのまま過去を封印してフェードアウトする事だって出来ただろう。なのに、どうしてわざわざ自首してきた? この先数年、確実に自由を失くすと分かっていながら」
「それは……」
 確かに、そうしようかと思った。そうした方が楽だとも思った。だけど――
『ジェイミーは、僕の友達!』
 一呼吸置いて、俺は答える。
「あの日、小猫と出会ったからです」
「猫?」
 刑事さんは不思議そうに眉を寄せた。俺は慌てて言い直す。
「あ、いえ、それはあだ名で……初めて、俺を友達だって言ってくれる人に出会えたんです。だから、胸張ってそいつの友達だって言えるようになりたかった。変わりたいと本気で思った。罪を償って、一からやり直そう。そう思ったからです」
 過去に蓋をするんじゃなく、きちんと、根本から変わりたかった。そう思わせてくれたシェリフに、心から感謝している。たとえ、二度と会えなくても。
「……そうか」
 刑事さんは立ち上がり、俺の肩を叩いて微笑んでくれた。
「お前なら大丈夫だ。必ず更生出来る。真面目に服役していれば、刑期の短縮もあり得るからな。しっかり罪を償って、出来るだけ早く戻って来い」
「はい」
 肩に置かれた手の温かさが、心にまで沁みた。


 刑に服して罪を償い、一からやり直す。真っ当な人間になる。
 堅い決意を胸に、俺はペンステモン刑務所の門をくぐった。

 ……そこで何が待っているのかを、知らずに。
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