お嬢様と羊
そして陽葵は、九重と離婚し今は一弥と住んでいる。

一弥は正式に大志の会社に就職して、毎日厳しく指導されながら仕事に励んでいる。
一弥と陽葵は、婚約中だ。
一弥が一人前になったら、結婚する予定だ。

「ねぇ、羊」
「あ?だから!
もうやめろよ、羊は」
「だって、呼びやすいんだもん!」
「俺はもう…陽葵の婚約者だよ!」
「そうね」

「陽葵」
「ん?」
「ギュってしていい?」
「もちろん!」
一弥が陽葵を抱き締める。

「幸せだ」
「私も!」
「今やっと本当の意味で、陽葵が腕の中にいるって感じがする」
「うん」
「触れることができる」
「うん」
「キスも…」
「うん……ンンン……」
「俺が、秀人さんの分も幸せにする」
口唇を離し、口元で囁いた一弥。

「うん…私も、一弥を幸せにする」
陽葵も微笑んで言った。


「陽葵」
「ん?」
「死ぬまで…いや、死んでからもずっと放さないから覚悟して!」
「望むところよ!!」
そう陽葵が言うと、一弥は微笑み小さな箱を出した。

「喜多川 陽葵さん、俺と死んでからもずっと一緒にいてください!」
そう言って、指輪を見せた。
「一弥…」
「渡してなかったから…」

「星野 一弥さん、喜んでお受け致します」
陽葵が左手を差し出した。
一弥が薬指に指輪をはめる。

「ありがとう!一弥!」
「あとさ、ピアスだけど…」
「あー、これ?」
陽葵が自分の右耳に触れながら言った。

「そのピアスの意味、知ってる?」
「え?」
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