バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて


マユの支度が終わるのをロビーで待っていたら、支度を終えたマユが引いた眼であたしを見ていた。


もう一度言う、酷くない?
親友に向ける目じゃないよ。




「まぁ、アヤナが変なのは中学の時から知ってるけど」


「知ってるならそろそろそういう反応やめてよ」




お願いするも返ってくる答えはいつも今って同じ。




「無理、面白いんだもん」




その一言に尽きる。それが親友のマユ。
止めてくれないって知ってるけどね、もうほぼほぼ諦めてるけどね。


この流れで言うのが定着してるから言ってるってだけ。




「ほら、さっさと行くよ」


「ちょ、置いてかないでよ」




マユはあたしをさっさと置いてスタスタ長い綺麗な足を見せながら先に行ってしまい、私はそのあとを追う形になっていた。



で、マユと来たのは朝話していた通りショーマのバーで。店内に入るとすぐにショーマの視界に入ってしまい「また来た」みたいな顔をされた。


あははー…と心の中で笑いながらカウンターに近づくと「3日連続だけど?」と案の定言われてしまった。



「別にいいじゃん」

「今日はマユちゃんと飲むわけね」

「そ。ねぇ奥の個室空いてる?」

「空いてるけど…今日はそこで飲むの?」

「うん。ちょっと話したいことがあって」




あたしのその一言で伝わってしまったのか、ショーマは眉間に皺を寄せて「まさかとは思うけど、あのことを言うつもりじゃないよね?」と見事図星をつかれてしまった。



反応の困ったあたしは嘘をつくのがことごとく下手で、そんなんじゃないよと言ってもショーマは信じてくれず結局バレた。


マユは終始何の話をしてるのか分からないような顔をしていたけど、それを今から明かすってんだから明かしたらどんな反応をされるのかよけい怖い。




「アヤナ、頑張れ」

「ありがとショーマ」



重くもなく軽くもないショーマの応援に背中を押され、あたしはマユを連れて個室へと入った。


「で、アンタが隠していることは何?ショーマさんは知ってるぽかったけど」



うーん、やっぱり怖いです。顔が怖いですマユさん。

お気持ちは分かるんだけど、そんな圧をかけてこなくてもいいじゃん。




「話す、話すからそんなに圧かけてこないで」

「はぁ…分かったよ。で?」

「えっと、どうはなせばいいのか…」



色々言いたいことはあるものの、頭の中で整理できてなくてあたふたしながらマユには話したことのなかったあたしとユアの2年間の関係を話した。



出会った時のこと、2人で遊ぶようになって酔った勢いで関係を持つよううになったこと、好きだったこと、それからユアに本命の子が出来て好きだと伝えることなく捨てられてしまったこと。



所々詰まってしまう時があったけど、しっかり全部話せたと思う。

< 17 / 26 >

この作品をシェア

pagetop