バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて
「はぁ…」
「だから溜め息吐くな」
「だってショーマにこんな姿見られたくないじゃん」
渋々そう言えば「今更何言ってんの?」みたいな、馬鹿なの?って感じの顔をされたから逆になんでそんな顔してるわけ、なんて思った。
「一昨日だって酔っぱらって聞きたくない事ベラベラ喋ってたし、今までだって俺に相談してたじゃん」
た、確かにそうだけど…ショーマの前で大泣きしたことなんて一度もないし、こんなボロボロのみっともない状態は見せたことないじゃん。
確かに一昨日だって何を言ったのか覚えてないけど、余計なことを言ってたのかもしれないけど…さすがにこんなひどい有様になったことは絶対ないじゃん。
「ま、それはどうでもいいんだけど」
どうでもいいで流された…。
てか、ショーマは何しにここに来たのよ。
「話、終わったよね?」
「はい、アヤナに全て聞きました。それで、ここに来たわけは?」
「あぁ、そうそう。2人に作りたいものがあって」
「「作りたいもの?」」
ショーマの答えに意味が分からくて、それはマユも同じだったみたいで見事に声がハモった。
気持ちいいくらい綺麗に重なったな~なんて思ってたら、ショーマが目の前で何やらガチャガチャやりだした。
それは名前の知らないお酒にレモンジュースとライムジュースや砂糖にシロップ、シェイカーと仕事道具まである。
「まさか、ここで作るの…?」
「作るよ。特別に」
そう言って「マユちゃんウィスキー飲めるよね?」と確認しながらショーマは慣れた手つきでソーダ以外の材料を華麗にシェイクして、それをグラスに注ぐと氷を加えてソーダで満たすと、軽くステアした。
どうぞ、とあたしたちの前に置かれた赤系のソレを見つめ「これはなんて名前」といつものように訊いてみれば今日は教えてくれるらしくて「カリフォルニア・レモネード」と特別に作ってくれたお酒の名前を言ってくれた。
「カリフォルニア・レモネード?」
やっぱり、一度も聞いたことがないからまだ飲んだことがないんだと思う。
「意味は?」
「“永遠の感謝”」
このカクテルはそういうカクテル言葉があるらしい。
でも、どうして永遠の感謝だなんて言葉のカクテルを作ったの?と訊けば、「アヤナはマユちゃんって素敵な親友がいることに感謝すべきだよ」と言われた。
ショーマに向けていた視線をマユに移すと「もっともな言葉ね」というような顔をされた。
確かに、あたしのことを思ってくれて泣いたり、私を思って叱ってくれたり怒ったりしてくれる。
今日も、こうやって話してユアとはいいとは言えない関係でいたにもかかわらずちゃんと聞いてくれたし、引かなかった…一番恐れていたけど離れていくことなんてなかった。
だから、あたしは感謝してもしきれない…というわけで。
「永遠の感謝…」
カリフォルニア・レモネード、これほどピッタリなカクテルはない。
グラスを手にし、「ありがとう」と伝えればマユが見せてくれるいつもの笑顔で「アンタはバカなところもあるけど、それでも好きだよ」と言ったくれた。
___カーン、とグラスの合わさる音が響いた。