愛しているから殺させて
「……あなたに食べる権利はない」

ブランシュはそう言い、料理に手をつけようとするピーターに銃口を向ける。突然のことにピーターは一瞬理解できなかったようだが、その顔がサッと青ざめていった。

「お、おい！落ち着けよ！何でそんなもの俺に向けてるんだよ！」

慌てるピーターに対し、ブランシュは冷たい目を向ける。心の奥底にはマグマのような怒りがあったものの、口からはいつもの声が出た。

「あなたは私を何度裏切ってきたの？私の心を弄んで、嘘をついて、もう限界なの。私はあなたの財布じゃない！」

「ブランシュ、待ってくれ！俺は君のこと、本当に愛してる！世界で一番！心の奥底から！愛してるんだ！だからこんなことやめろよ。ご馳走作って待っていてくれたんだろ？一緒に食べようよ」

また彼の口から出た「愛してる」という言葉。何度その言葉に騙されただろうか。ブランシュは銃を下ろすことなく、引き金に指をかける。

「……その言葉、もう聞き飽きたわ」

その数秒後、静かな街に銃声が響き渡る。ピーターの体から血が噴き出し、ブランシュの体を汚した。

「あはは……」

憎い、でも確かにこの男を愛していた。ブランシュは泣きながら笑い、ピーターの亡骸に近付く。

そして、死んでしまった彼の唇に自身の唇を重ねた。
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