毒吐き幼なじみはときどき甘い。



「……」



「……あ、あっち、
探してないから頼んでもいいか?」




顔を隠すように、俯き加減で私の後ろを指さした。




「あっちね。
探してみる」




雪森くんに一言声をかけてから、雪森くんに背を向けて歩く。



……びっくりした。


雪森くん、お礼とか言うんだ。



いや、こう言うと失礼だけど!


意外だったというか…。もっと怖い人だと思ってたから。



チラッと後ろを見たら


顔をあげた雪森くんと目があった。




「……!!」




なんか目があって気まずくなって、ぺこ、と頭を下げてみる。


しかし雪森くんは私に背を向けて歩いていってしまった。



……あー…。


こういう時、気の利いたこと言えないから困る。



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