毒吐き幼なじみはときどき甘い。



『意地悪いな、アイツ』と笑う雪森くんの顔が、昔のゆきくんの笑顔と重なって見えて。



やっぱり雪森くんはゆきくんなんだ、とぼんやり考えてた。




その後、ふたり並んで学校までの道を歩きながらポツポツと話し始めた。








「昴がさ、
最初俺に話しかけて来た時、俺と幼なじみだって言ったんだけど、
俺、実は昴のことあんま覚えてなくってさ」



「あー…」




ゆきくんと昴くんは


あんまり仲良くなかったしね…。




「今まで普通に友達として接してたけど、
千花ちゃんに会ったら、思い出したわ。

いつも千花ちゃんの背中に隠れてた、弱っちそうなやつだって」



「ぶふっ!」




雪森くんの発言に、思わず吹き出してしまった。



弱っちそう、だって…!



やっぱナメられてるじゃん、昴くん。





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