この夜、返品可能です。
時々ある、宵くんがわざわざキスするのに許可を求めて来る瞬間。
わたしがいつもご丁寧に直接「えちしよ!?」て誘って迫るのに対して、宵くんは何も言わずに触れてくることが多いから、こうやって口で言われると、いつもちょっとびっくりしちゃうのだ。
只今、宵くんの部屋。
宵くんの匂いに包まれているので実質天国と同義(by 有川仁乃辞典)。
「なるほど、キッスですね」
「キッスて言うのやめん?」
「本日はどんなコースをご所望で?」
「如何わしいマッサージ店みたいだなおまえ」
「ちなみにお値段、何度やっても無料!おめでとうございますラッキーボーイ!」
「アハハ、いえーい」
いやいや宵くん、いえーいが棒読みなんよ。と心の中で返思いながら、「イエーイ!」と宵くんの3倍くらいのテンションで返す──と。
「仁乃」
優しく名前を呼んだ後、わたしを黙らせるようにちゅ、と唇が触れた。
1回目。
もちろんお値段、無料である。