この夜、返品可能です。





昨日のこと。結論から言うと、宵くんとわたしは最後までしなかった。




​───後悔すんなよ、仁乃



あの後、宵くんはその日いちばんふかいキスをしてくれて、身体を撫でていた手を止めて、それから。



.
.



『……やっぱやめた』

『ああ!?』


『なんかあれだな、あのー…そう、明日俺大学あるし』

『いやいやいや何言ってんの宵くん』


『仁乃だって本当はちょっと怖いだろ』

『人のせいだと……?』


『……や、あれじゃん』

『どれじゃん』


『俺が、そのー……うーん』

『なるほど?(わたしが魅力的過ぎてチキったな)』


『違うからなおい、今何考えてる?なぁ、おい』

『えっ?いやいや別に何も』



.
.




宵くんがチキった。

いや、分からないけど。わたしが勝手にそう思っているだけで、宵くん本人に確かめたわけではない。


いやあ、でもチキったよね。

絶対絶対、わたしが可愛すぎてびびったんだと思う。



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