とろけるような、キスをして。
「さて、じゃあ次行くか」
「ごめんね、いろいろ付き合ってもらって」
「気にすんなって。俺がしたくてしてるんだから」
「ありがとう」
「次は実家行くか?その前に俺ん家行って着替えてきてもいい?」
「もちろん。お願いします」
先生が一人暮らししているというマンションに向かう。
「ちょっと待ってて」
と、先生は私に車のキーを預けて急いでマンションの中に走っていった。
私に預けていいのか?そう思いながらも特にすることも無いため車の中でスマートフォンを見ながら先生を待つ。
「お待たせ」
五分ほどで戻ってきた先生は、スーツよりはラフなVネックの服に黒のジャケット姿。
そう言えば高校時代も先生の私服姿なんて見たことがなかったかも。
見慣れないその姿に、少し緊張してしまう。
「どうした?」
「えっ……いや、先生の私服初めて見たなあって思って……」
「あぁ、確かに。高校じゃ俺スーツしか着てねぇしな。そういうみゃーこの私服も俺初めて見た気がするけど」
「制服だったからね」
懐かしい制服を思い出す。
あの頃はセーラー服に憧れていたけど、学校はブレザーだった。
でも茶色いブレザーとチェックのスカート、赤茶のリボンは可愛いと評判で、制服目当てで入学する生徒も多かった。
「今もあの制服なの?」
「うーん、ちょっとだけ変わったかな」
「そうなの?」
「よくわかんないけど、スカートの柄が変わったらしいよ」
「らしいって……現役の教師だよね?」
「俺そういうの興味無いから」
あっけらかんとして答える先生は、いっそ清々しくさえ見える。