とろけるような、キスをして。



「今週末、デート行こ」


「……でも、今週末ってちょうど大学の共通テストじゃない?」



 確か、そっちの準備も大変だったと千代田さんが愚痴っていた気がする。



「んー、でも俺は三年の担任じゃないから正直何もできることは無いんだよね。金曜の放課後は質問とかある生徒が来そうだから残業になりそうだけど。部活は土日は無いし。だから大丈夫」



 まぁ、確かに自己採点とかで学校に来ることはあまり無いか。



「そっか。ならいいけど。……でもどこに行く?」


「そうだなあ……どうせなら泊まりでどっか遠出するか!」


「いいね!じゃあ行き先決めないと」



 温泉でゆっくりもいいし、冬のレジャーもいい。



「あぁ。でも今日はもう遅いから、また明日な」


「うん。ありがとう。じゃあ、おやすみなさい」


「うん。おやすみ。あったかくして寝ろよ」


「はーい」



 手を振って見送る。車が走っていった音を聞いて、私も部屋に向かってピアスを置く。


 自分でもわかるほどに舞い上がってしまって、お風呂の間もどこにデートに行こうか考えていたし、寝る前も調べつつ、ずっとピアスを見つめていた。


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