とろけるような、キスをして。



 すぐに雛乃さんがサンドウィッチとホットチョコレート、デザートにプリンを持ってきてくれて、私はありがたくそれを食べる。


 お昼時を過ぎた平日だからだろうか。お客さんは常連さんだけのよう。


高校の近くだけれど、あまり学生は来ない。


多分、お店の看板も出していないし店名も小さく出しているだけだから、何のお店なのか知らない人が多いからだ。


 後は静かにコーヒーを飲む常連さんが多いから、友達同士でお喋りしたい高校生にはあまり向いていない。


でも、一度来るとその味に病みつきになり、もれなく常連になる人が多いのもまた事実。


コーヒーなどの飲み物は大和さんが。サンドウィッチやデザートなどの軽食を雛乃さんが担当している。



「んで?修斗とどんな話したの?」



 大和さんは私がホットチョコレートを飲むのを見ながら、ニヤニヤして聞いてくる。


雛乃さんも常連さんの会計を終わらせるとこちらに来た。


 私が東京での孤独な生活に疲れてしまったこと。帰って来たいと思っていた矢先の晴美姉ちゃんの結婚式。そこで先生と再会したこと。


 順を追って説明していると、二人は驚いて顔を見合わせたりニヤニヤしたり。小さく笑い出したりと表情の変化が忙しい。


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