とろけるような、キスをして。



「……してもいいなら、みゃーこの腰抜かすけど」



 そう言って私の身体をソファに寝かせて、その上に馬乗りになる。


ぺたんこになった髪の毛を後ろに掻き上げた先。


露わになった両目が、熱を帯びていた。



「……いいよ」



 そう答えたのは、一種の気の迷いか。


ずっと信頼してきた人からの告白に、絆されたのか。


それとも。この人の視線とその真っ直ぐな想いに、心を撃ち抜かれたのか。


さっきのキスに、凝り固まった心をとかされてしまったのか。



 ……私は今、この人に恋をしているのだろうか。



「意味わかってる?俺もう止めらんないよ?我慢しないよ?……いいの?」



 修斗さんの瞳に映る自分の表情が、モノクロの世界でも赤く染まっていることがわかる。


決して、雰囲気に流されたわけではない。


 だって、痛いくらいに高鳴る胸は、この人を欲している。



 ───キスしたい。


 抱きしめられて、手を絡めて。そして、キスしたい。そう思った。


これは、私の意思だ。



「……いいよ」



 それは、始まりの合図。


すぐに触れた唇は、今度はかさついておらずとても滑らかで。


柔らかな感触が、私の鼓動をどんどん早める。


 私の両手に自分の両手をぎゅっと絡めた修斗さんは、そのまま私に噛み付くようなキスを繰り返した。


それに応えようと、唇をうっすらと開く。


その隙間を待ってましたと言わんばかりに、熱い舌が滑り込んできた。


< 93 / 196 >

この作品をシェア

pagetop