茨ちゃんは勘違い
直様バスの運転手がドアを閉める。

「大丈夫でしたか!お客様!怪我は!?」

その声に反応して、茨がギュッと瞑っていた目蓋を、ゆっくりと開く。

見ると、茨は木更津に抱き抱えられていて、所謂お姫様抱っこ状態というやつになっていた。

「大丈夫だったかい?茨ちゃん。間一髪だったね...もう、あんな危ない事しちゃ駄目だよ?」

流石に猛獣の中に飛び込んで救い出したのは恐ろしかったのか、木更津の額には汗が滲み出ていて、足はカタカタと震えている。

客達からは、安堵の溜息が漏れて、事態は一応収束した。
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