茨ちゃんは勘違い
部活後のいつもの和やかな雰囲気はどこへやら。
二人の表情は真剣そのものである。
それぞれのチームが位置に着くと、後はホイッスルの音を待つだけとなった時だった。
桜は畑山に近づいていくと、こう耳打ちした。
「先輩」
「桜ちゃん、ついに決勝だね。気を抜かないで頑張ろうね」
「はい……。それもなんですけど……」
「? どうかしたの?」
「私、先輩に黙っていたんですけど、言わなくちゃいけないことがあったんです」
「言わなくちゃいけないことって……?」
「それは……」
畑山が聞き返して、桜が応えようとしたその瞬間だった。
甲高い短管の音が会場内に響き渡ると、第一泳者が一斉に飛び込んだ。
「兎に角、後で話します。今は試合を頑張りましょう」
「う、うん。わかった」
桜の態度に怪訝な表情を浮かべた畑山だったが、直ぐに選手の顔付きに戻ると、プールの方を向いた。
長水路である50Mのプールを背泳ぎの選手達が向こう岸まであっという間に行き、折り返してくる。
二人の表情は真剣そのものである。
それぞれのチームが位置に着くと、後はホイッスルの音を待つだけとなった時だった。
桜は畑山に近づいていくと、こう耳打ちした。
「先輩」
「桜ちゃん、ついに決勝だね。気を抜かないで頑張ろうね」
「はい……。それもなんですけど……」
「? どうかしたの?」
「私、先輩に黙っていたんですけど、言わなくちゃいけないことがあったんです」
「言わなくちゃいけないことって……?」
「それは……」
畑山が聞き返して、桜が応えようとしたその瞬間だった。
甲高い短管の音が会場内に響き渡ると、第一泳者が一斉に飛び込んだ。
「兎に角、後で話します。今は試合を頑張りましょう」
「う、うん。わかった」
桜の態度に怪訝な表情を浮かべた畑山だったが、直ぐに選手の顔付きに戻ると、プールの方を向いた。
長水路である50Mのプールを背泳ぎの選手達が向こう岸まであっという間に行き、折り返してくる。