茨ちゃんは勘違い
平均精神年齢は実年齢-10なので、幼児根性丸出しというか空気が読めない馬鹿集団(偏差値だけは高いのだが)に見兼ねた教師達が、注意に回る。

B組はというと、先の恐怖政治によって秩序は守られているかのように見えたが、約一名、興奮を抑えきれない者がいた。

「うほーっ!!うほっ、うほっ、うほほほほ」

動物園から逃げ出した、猿でもゴリラでもなく、茨であった。

「ゆり、ゆり、ゆりゆりユリユリ百合絵ちゃん!あれだ!!あの方だ!!私の貞操を奪うのは彼に違いな…」



がすっ!!



言い終わる前に黒酉のチョッピングライトが顔面に捩じ込まれ、茨は強制的に沈黙した。

…ザマー。

と、百合絵が心の中でほくそ笑む。

しかし、直ぐに復活し、鼻血をボタボタ滴ながら百合絵に同情を求めてきた。

「…えーん。痛いよー。鼻が折れたかもー…」

…荒療治の美容整形だと思えばいいんじゃね?

と、百合絵は言葉には出さず、チラッと横目で茨に視線を送って、再び校長の方を向いた。

というか、他のクラスには分からない事なのだろうが、黒酉の殺意の隠った視線が送られ続けているので、不用意に動けないのが本当のところだ。

…コイツの事は置いておいて、とっととお家に帰りたい…。

百合絵の祈りは、平穏な学園生活を送る事から、無事に生還する事に変わっていた。
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