茨ちゃんは勘違い
…
……
………
二年、三年との初顔合わせも終え、粗方入学式の内容を消化すると、ようやく閉式の言葉を残すのみとなった。
ああ…やっと終わる…
百合絵がそう思い、安堵の溜め息を吐いた時だった。
ダダダダダダダダっ!!
ズコッ!
ドテッ。
「…。」
「…。」
「…。」
その場に居た全員が動きを止め、物凄いスピードで生徒達の前を横切り、コントのように自分の足に躓いて顔から転んだ者に皆注目した。
少年───桐海暁学園の制服を着ているので、どうやら生徒のようだ───は、ブレザーの埃をパタパタ叩くと、とびっきりの笑顔でこう言い放った。
「二年F組、春海隆文(はるみたかふみ)、遅刻、です!!」
「誰もが分かるわボケぇえぇえぇっ!!!」
ドガスっ!!
真っ青な空にこれでもかってぐらい夏日を演出する太陽のようなスマイルは、見る者全てを呆れさせたが、どこからともなく現れた女子生徒の拳骨音によって、皆我に還った。
「…痛い。何故だ、素直に謝ったのに、何故僕は殴られたのだ」
「アンタが、自動販売機の釣り銭口を漁り歩く幼稚園児並にアホな発言をしたからよ!」
ざわざわざわ…
入学式閉会間際、それも生徒達のど真ん中で夫婦漫才が始まった。
生徒達が騒めきだし、収拾がつかなくなると判断したのか、担任らしき教師が二人の生徒の前に行って、早く列に戻るよう促した。
……
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二年、三年との初顔合わせも終え、粗方入学式の内容を消化すると、ようやく閉式の言葉を残すのみとなった。
ああ…やっと終わる…
百合絵がそう思い、安堵の溜め息を吐いた時だった。
ダダダダダダダダっ!!
ズコッ!
ドテッ。
「…。」
「…。」
「…。」
その場に居た全員が動きを止め、物凄いスピードで生徒達の前を横切り、コントのように自分の足に躓いて顔から転んだ者に皆注目した。
少年───桐海暁学園の制服を着ているので、どうやら生徒のようだ───は、ブレザーの埃をパタパタ叩くと、とびっきりの笑顔でこう言い放った。
「二年F組、春海隆文(はるみたかふみ)、遅刻、です!!」
「誰もが分かるわボケぇえぇえぇっ!!!」
ドガスっ!!
真っ青な空にこれでもかってぐらい夏日を演出する太陽のようなスマイルは、見る者全てを呆れさせたが、どこからともなく現れた女子生徒の拳骨音によって、皆我に還った。
「…痛い。何故だ、素直に謝ったのに、何故僕は殴られたのだ」
「アンタが、自動販売機の釣り銭口を漁り歩く幼稚園児並にアホな発言をしたからよ!」
ざわざわざわ…
入学式閉会間際、それも生徒達のど真ん中で夫婦漫才が始まった。
生徒達が騒めきだし、収拾がつかなくなると判断したのか、担任らしき教師が二人の生徒の前に行って、早く列に戻るよう促した。