茨ちゃんは勘違い
茨の反応は適当にスルーした百合絵だったが、流石に知らない仲でも無いし、このまま放っておくと黒酉に何を言われるか分かったもんじゃないので、取り敢えず学校で体調を心配した時の決まり文句を言う事にした。

「ん~…じゃあ、保健室行く?」
「え!?マジマジマジンコ!!?ありがとー♪ユリユリやっさスィー☆」

「じゃあ」とか言ってるあたり、百合絵のやる気のなさは半端では無かったのだが、茨の受け取り方は妙に好意的であった。

さて、保健室に連れて行くにしても、まだ初日で場所もよく分からない百合絵は、教室から出ようとしていた黒酉を呼び止め、どこにあるのか訊く事にした。

「黒酉先生─」

百合絵が呼び掛けると、黒酉は身体の向きを殆んど変えず、つまらなそうに百合絵に視線を送った。

「なんだ、小娘」

…。

せ、生徒に小娘って…

鋭い眼光を浴びせられたままでは、二・三歳老いてしまいそうな気さえしてきたので、単刀直入に訊ねる事にした。
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