茨ちゃんは勘違い
「はぁ…違うんですか?」

茨は二人の言葉を鵜呑みにしたようだ。

…いや、雰囲気でなんとなく感ずくだろ?

と、百合絵が少し呆れる。

「と、ゆー事は春海先輩はフリーな訳ですか」
「いや、うん。え?いや、えぇ??」

予想だにしなかった茨の反応に、春海が返答に困っている。

畑山も「まさか」というところがあったのだろう。

固唾を飲んで、茨の次の発言を聞く体制になっている。

百合絵は取り敢えず、すぐにでもこの場から立ち去りたかった。

大体、言うことに想像はついたから。

「…って、勘違いしないで下さいねー☆アタシ、春海先輩みたいのタイプでもなんでも無いので、例え一目惚れしてたとしても、全力でお断りですよー☆」

…。

……。

………。

かぁ、かぁ…。

遠くの方で鳴いている烏の鳴き声が聞こえるぐらい、保健室は静かになった。

茨他三人は、凍りついたように動けないでいる。

「あ、傷ついたならゴメンナサイ。誠心誠意謝ります。ごめんちょ」

…。

これのどこが、誠心誠意なのか知らないが、謝ったらしい。
< 32 / 224 >

この作品をシェア

pagetop