茨ちゃんは勘違い
中学の時から全く変わっていない、茨の男子に対する言動に、強く目眩を覚えた百合絵であったが、兎に角二人の上級生に対しフォローに回った。

「あ…あはははー…あの、茨ちゃん、黒酉先生に殴られたショックで、少しおかしくなってるだけなんです。許してあげて下さい」

と、頭を垂れる百合絵に、ようやく二人は活動を開始した。

「あ…うん…大丈夫よ…気にしてないから…」
「あはは…面白い子だねぇ…」

心の広い先輩で良かった…と、百合絵は胸を撫で下ろし、軽く茨を睨んだ。

「?な~に?ユリユリ」

実際全く気にして無いのは、問題発言をした茨だったりして、百合絵は絞首刑にしてやろうかと本気で思った。

命を狙われているとも知らずに、能天気な茨は突如ポンっと手を打ち、思い出したように言った。

「あ!そうだ!アタシ今日、見たいテレビあったの忘れてた!じゃね!皆さん☆バイバイき~~~ん♪」

茨は捲し立てるようにそう告げると、その場からマッハで立ち去った。

残された三人は、それを呆然と見届ける。

百合絵は、この先の学園生活で、胸の内から沸き上がる殺人衝動をどう抑えるか、真剣に悩んでいたりした。
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